噛んで、DESIRE



わたしは必死に否定するも、吾妻くんが興味なさそうにあくびをしている。

吾妻くんがそんなだから、もっと誤解を招くんだよ……。


虚しくなりながら、澪子に信じてもらおうと笑みを作れば、不思議そうにしながらもうなずいてくれた。


「ていうか! 四宮さん私服可愛い!」

「えっ……と、ありがとう」


「髪もすげえ似合ってる!」

「そう、かな……?」


「うん、マジ! 雰囲気変わって、大人っぽい」


マシンガンのように褒めてくれる三原くんに、少しだけ照れてしまう。

素直に嬉しい言葉をかけられるのは気分が上がって、もう一度感謝の意を伝えた。


……三原くんの笑顔は眩しいなあ。


思わず笑みがこぼれていると、そんなわたしの表情を見たであろう吾妻くんが、あくびを噛みころして言った。


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