噛んで、DESIRE
「早くなんか乗ろ」
マイペースで、自由人。
わたしが、三原くんにかけてもらった言葉を吾妻くんの口から聞きたかっただなんて思っていることなど、きっと彼はわかっていない。
別にぜんぜんいいけれど、彼がわたしを褒めてくれたらそれだけで充分なのになと思ってしまう。
なぜそれほど吾妻くんがわたしの心の中で大きな存在になっているかは、いまはまだわからないふりをしている。
「おお、吾妻が乗り気じゃん! よし、初っ端はまずジェットコースターじゃね?」
「三原、あんまり初めから飛ばすと後がしんどいよ」
「それが醍醐味なんだって!」
「もう、その考えは三原だけなんだよ……」
……三原くんと澪子は、やっぱり仲良いんだなあ。
呑気にそう思っていると、澪子はわたしの表情をうかがって、心配そうに尋ねてくる。