噛んで、DESIRE
「杏莉、ジェットコースター乗れそう?」
「うーん……どうだろう。でも、乗ってみたい」
「それならハードすぎないの乗ろうか」
三原くんにまだ負担の少ないジェットコースターがあるか聞いてくれる澪子は本当に優しい。
わたしのことをいちばんに理解してくれるのは、やっぱり彼女だ。
「杏莉ちゃん、絶叫苦手?」
いつのまにかわたしの隣にいた吾妻くんが、そんなことを聞いてくる。
なんて答えようか……と悩んだけれど、正直に告白しようと小さな声で言った。
「実は……わたし、テーマパーク、一度も来たことないんです」
「ふうん。まあたしかに、杏莉ちゃんテーマパーク似合わないかも」
「えっ、吾妻くんのほうが、ぜったい似合ってないです……!」
「どこ張り合ってんだよ」