噛んで、DESIRE

純情と従順








「なーーんか、怪しいんだよね」



次の日の朝。

登校するなり、澪子がわたしをホールドし、そんなことを真剣に言い出した。


「怪しい?」


脈絡がなさすぎて首を傾げると、澪子はずいっとわたしに顔を近づけて言う。


「杏莉と吾妻のことだよ!」

「えっ……、わたしと吾妻くん?」


突然何のことかと思えば。

予期せぬ答えに目を瞬かせると、澪子は頭を抱えて呟いた。



「昨日も、ふたりで微妙な距離感で戻ってきたしさ。触れちゃいけないと思って黙って見てたけど、絶対何かあったでしょ?」

「……ううん、何もないよ」


「も〜〜っ、朝もいっしょに来るし、さすがに怪しいなって思うじゃん」

「うっ……そうだよね」


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