噛んで、DESIRE
純情と従順
☽
「なーーんか、怪しいんだよね」
次の日の朝。
登校するなり、澪子がわたしをホールドし、そんなことを真剣に言い出した。
「怪しい?」
脈絡がなさすぎて首を傾げると、澪子はずいっとわたしに顔を近づけて言う。
「杏莉と吾妻のことだよ!」
「えっ……、わたしと吾妻くん?」
突然何のことかと思えば。
予期せぬ答えに目を瞬かせると、澪子は頭を抱えて呟いた。
「昨日も、ふたりで微妙な距離感で戻ってきたしさ。触れちゃいけないと思って黙って見てたけど、絶対何かあったでしょ?」
「……ううん、何もないよ」
「も〜〜っ、朝もいっしょに来るし、さすがに怪しいなって思うじゃん」
「うっ……そうだよね」