噛んで、DESIRE
一瞬の出来事で、わいわいしていたクラスメイトは不思議そうに首を傾げている。
それでも実行委員の子はなんとか平静を装って司会を続けた。
「な、なにしてるんですか吾妻くん……」
もはやいまのは脅しだよ、と不満を隠さずに言えば、彼は平然と首を捻る。
「いや、ひとりごとのつもりだったんだけど」
「とぼけないでください!」
もう、そんなだからキケンだなんて言われるんだよ……。
反省していない様子の彼に呆れながらため息をつくと、不機嫌そうに彼はわたしを見た。
「だってさあ、杏莉ちゃんのメイド姿とかさあ……」
はあ、と大きくため息をついた吾妻くんは、……なんだか失礼な想像をしている、気がする。
似合わないと思っているなら、いっそ笑ってくれたらいいのにと怒りたい気分になりながら反論する。