噛んで、DESIRE
「他クラスとコンセプト被らないように、工夫出来ないかな? うちのクラスしか出来ない個性みたいな!」
三原くんの意見に、クラスのみんなが立ち上がって賛成する。
「それな! せっかく最後の文化祭なんだから、すっげえの作りたい!」
「あり! ほら、たとえばお菓子の家とか、お花畑みたいな、ひとつのテーマを決めて作るのはどう?」
「めっちゃ良い!」
次々と意見が交わされていくのを眺める。
こういう光景を見ていると、本当にこの高校に入ってきてよかったなと思う。
わたしの選択はまちがえていなかったと、後押しされている気分だった。
「あ」
突然、隣の彼が小さく声を漏らした。
何かを思い付いたらしい吾妻くんは、だるそうに手を挙げて言った。