噛んで、DESIRE
「この子、めちゃめちゃ花のセンスあるよ」
そして、わたしの頭にぽんっと手を乗せると、1拍おいてから、きゃーっと女の子たちの悲鳴が上がった。
……また、勝手なことを。
校外学習が終わってから、吾妻くんの人気はうなぎのぼりだということを自覚してほしい。
本当は噂ほど危ない人じゃないとクラスメイトに知られてから、彼は特に女の子からの視線を浴びるようになっていた。
だって何度も言うけど、吾妻くんは美しい。
それに歳上とくれば、それはモテても納得なのだ。
「そうなの?! 四宮さん!」
三原くんや実行委員の子が目を輝かせて飛び付いてくる。
わたしが華道をしていたことは、澪子と吾妻くんしか知らない。
それに、わたしが華道に対してかなりのトラウマやコンプレックスがあることを理解している澪子は、心配そうにわたしを見ていた。