噛んで、DESIRE



「あっ……、うん。ちょっとだけ、華道やってたことがあって、ね」


途切れ途切れにそう伝えれば、クラスのみんなが嬉しそうに立ち上がる。


「すげえ!! 四宮さんの協力があれば、お花畑をコンセプトにしたフォトスポットにしたら、上手くいくんじゃね?!」

「確か四宮さんのお家って華道の家元? だったよね! ぜったい繁盛するって!」

「やば! じゃあそれでいこう!」


どんどん進んでいく教室の渦に、わたしは着いて行けなくて焦ってしまう。

だって、自信なんてなかった。

皆んなを引っ張っていけるわけがなかった。


────『おまえには、才能がない』

────『姉妹なのに純恋(すみれ)は杏莉とは違うな』



もう蓋をした記憶なのに、思い出してしまう。

わたしなんかが、上手くやれるわけがない。


センスも才能も、何もかも備わっていないのだから。



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