噛んで、DESIRE




『この子、めちゃめちゃ花のセンスあるよ』


わたし自身も、吾妻くんのあの言葉は胸にくるものがあった。

毎日いっしょにいるせいか、わたしの表情のひとつひとつで、彼はすべてわかってくれている気がする。


だからあのとき、わたしを変えてくれるひと言を発してくれたのかな……なんて思うのは自意識過剰なのかもしれない。

でも、何も言ってないのに心で繋がっているような気分になるのは、すごく心地が良かった。


いまもあの言葉を思い出して無意識に頬が緩んでいると、突然クイッとスカートの裾が引っ張られた。

そんなことをする人は、もちろんひとりしかいない。


慌ててバッとスカートを押さえて視線を下に落とすと、案の定、美麗な笑みを浮かべている吾妻くんがこちらを見ていた。


「……吾妻くん、スカート引っ張るのはどうかと思いますけど」


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