噛んで、DESIRE



「うちの杏莉ちゃんすごいでしょ?」


ニコッと完璧な笑みを浮かべたのは、言うまでもなく吾妻くん。

それを見て、クラスメイトの子たちは唇を尖らせた。


「四宮さんは、吾妻くんのじゃないからね!」

「そうそう! 俺らクラスの四宮さんだから!」


吾妻くんがわたしに肩を組んでいるという密着度合いについては、もはや叫ばれなくなってきた今日この頃。

嬉しいことを言ってくれる皆んなに、吾妻くんは不満そうに口を開いた。



「でもさあ、俺が提案したんじゃん。杏莉ちゃんがすげえのは前から知ってたし?」


「うわ、吾妻がマウント取ってる!」

「吾妻って、独占欲とかあんの?!」


「そんなもん、人並みにあるわ」



てんやわんやと男の子たちと言い合いしている吾妻くんは、新学期当初の近寄りがたい雰囲気がまったくと言っていいほどなくなっていた。




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