噛んで、DESIRE


背が高くて美麗な彼は、異様に目立つ。

他校の生徒さんたちの目を引いて、ひそひそと噂されているのがわかる。


特に女の子たちから視線を集めていて、きっと、カッコいいとかなんとか言われているんだろう。

ぜったい気付いているくせに、わたしから離れようとしないところは、何を考えているかわからない。


どうして吾妻くんはこうも自由なんだろう……と困っていると、お客さんの他校の制服を着た女の子が駆け寄ってきた。


「あ、あの……っ!」


吾妻くんを見上げて、その女の子は震えながら声をかけた。

これから言おうとしていることを察して彼の腕から逃げようとすると、グッと力を強められて、解放されずに再度吾妻くんに密着してしまう。


< 221 / 320 >

この作品をシェア

pagetop