噛んで、DESIRE
隣のお家の吾妻くん
☽
「ちなみに、合法だから」
わたしの家に入った途端、そんなことを言い出した吾妻くん。
振り返れば、真剣な顔をしている……ように見える。
「合法……とは?」
あまりに脈絡がないおかげで、頭の中が大混乱中だ。
首を傾げると、吾妻くんは指で煙草を吸うような仕草をして言った。
「煙草。俺もうハタチだから合法なの」
「あ……20歳なんですか?」
「そー。留年2回もしてたら、いつのまにか歳とってたわ」
話を聞けば、どうやら先月つまり4月に誕生日で、まだ17歳のわたしより3つも年上ということになる……らしい。
留年2回というフレーズは聞き慣れすぎて、ちゃんと真実だということに驚きもしなくなってしまった。