噛んで、DESIRE
君を噛む

優しさの果て








「杏莉ちゃん、おいで」



その日の夜。

ベッドを陣取り、両手を広げて迎えてくれる吾妻くん。


ストレートになった金髪は何度も見ているはずなのに、いまだにドキドキしてしまう。

色気が滲み出てるよ……と頭を抱えたくなりながらも、彼の目の前に立った。


「はは。何突っ立ってんの」


ほら、と再度腕を広げ、吾妻くんは首を傾げた。

その表情はいつになく飄々としていて、本音はわからない。


素直に甘えることができないわたしを待ったあと、それでも動かないとわかると、吾妻くんは仕方なさそうに片眉を上げた。


「ぎゅーしてあげようか?」

「……わざわざ聞かないでください」

「ふは、ツンデレすぎだろ」




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