噛んで、DESIRE
君を噛む
優しさの果て
☽
「杏莉ちゃん、おいで」
その日の夜。
ベッドを陣取り、両手を広げて迎えてくれる吾妻くん。
ストレートになった金髪は何度も見ているはずなのに、いまだにドキドキしてしまう。
色気が滲み出てるよ……と頭を抱えたくなりながらも、彼の目の前に立った。
「はは。何突っ立ってんの」
ほら、と再度腕を広げ、吾妻くんは首を傾げた。
その表情はいつになく飄々としていて、本音はわからない。
素直に甘えることができないわたしを待ったあと、それでも動かないとわかると、吾妻くんは仕方なさそうに片眉を上げた。
「ぎゅーしてあげようか?」
「……わざわざ聞かないでください」
「ふは、ツンデレすぎだろ」