噛んで、DESIRE
照れ隠しに少しだけまた距離を詰める。
笑みを浮かべている吾妻くんは、仕方なさそうにわたしの腕をグイッと引っ張った。
ベッドにふたり、倒れ込む。
強引に引っ張られたせいか、なぜかわたしが吾妻くんを押し倒しているような図になってしまい、可笑しそうに彼が吹き出した。
「杏莉ちゃんに襲われるのも悪くねえな?」
「……な、に言ってるんですか」
「でもごめんね? 俺は断然、襲う派だから」
ひょいっとわたしを持ち上げて退かし、そのままくるりと形勢逆転。
しっかりベッドに沈み込んだわたしを、上から吾妻くんが見下ろしている。
「ん、やっぱこっちのが良い」
「わたしは、……嫌、です」
「へえ? じゃあ杏莉ちゃんは押し倒したい派なの?」
「そういうことじゃありません!」