噛んで、DESIRE
「……歳は、ふたつしか、変わりませんよ」
「うーん、いまは3つだけどね?」
迷ったように微笑む姿は、吾妻くんらしくない。
こういうときに強引に来ないのは、彼が本当はとても優しくて繊細なことを表していた。
だからこそ、わたしは吾妻くんを手放したくない。
「そんなの、誤差です。吾妻くんだけが大人でも、わたしだけが子どもでもないんです」
“ 大人 ”なんて言葉で線引きして、置いていかないでほしい。
だって、吾妻くんはこの前言っていた。
───『ぜんぜん変わらねえよ。18歳だろうが、ハタチだろうが、関係ないじゃん』
余裕なんて、なくていいのに。
吾妻くんばかり大人の余裕を見せつけて、寂しくて仕方ない。