噛んで、DESIRE
「わたし……クラスの皆んなに、迷惑かけちゃいました」
吾妻くんの温もりは、わたしを素直にさせる。
彼の服に涙が落ちるけれど、彼は気にしないというふうに頭を撫でてくれた。
「迷惑なわけないじゃん。皆んな杏莉ちゃんに感謝してるって言ってたし」
「でも……父が来て、空気が重くなって、」
「最後はうちのクラスがナンバーワンだったじゃん? 最高に明るい空気になったわ」
吾妻くんが、わしゃわしゃとわたしの髪を乱して元気づけようとしてくれる。
その優しさが伝わって、どうにも弱くなってしまう。
「…………わたしは、いらないのかな」
ずっと隠していた、弱い部分。
それをさらすのは勇気がいる行動で、でも吾妻くんなら受け止めてくれる気がした。