噛んで、DESIRE
「大事すぎて、怖えくらいにはな」
……そんなの、わたしもだ。
こくりとうなずいて吾妻くんを抱きしめる。
この背中を、ずっと抱きしめていたい。
離れたくないと思うのは、きっと愛のせいなのだろう。
その夜、それから何も言わずにわたしたちはキスをした。
ただ、触れるだけのキス。
泣きすぎたわたしはすぐに安心感とともに眠気が訪れて、すやすやと寝てしまった。
隣に吾妻くんの温もりを感じて。
────だけど目を覚ましたとき、吾妻くんはいなかった。
そうして彼はメモを残さず、忽然と消えてしまった。