噛んで、DESIRE
儚い夢心地
☽
朝起きても、夜寝るときも、吾妻くんがそばにいなくなって約2週間が経った。
何も言わずに消えた彼の温もりを忘れそうになるのが怖くて、最近はよく眠れていない。
「永遠の高校生って、あながち間違ってなかったのかもねえ」
クラスメイトが吾妻くんの噂をするのも減ってきた今日この頃。
久しぶりに聞いたフレーズに耳が反応して、澪子とお話をしながら聞き耳を立てた。
「あたしもそう思う。だって文化祭の日を最後に突然学校に来なくなったもんね……吾妻くんってば」
「せっかくクラスが団結したときだったのに、本当に寂しいよね」
「おかげで三原がぜんぜん元気ないのがなあ……教室盛り上がらないよ」