噛んで、DESIRE
そっと三原くんの居場所を探すと、彼はクラスの男の子たちと話しながらも少し寂しげな笑顔を浮かべていた。
吾妻くんに懐いていた三原くんを元気づけようと、教室中は騒がしい。
そして、三原くんだけでなく、わたしもどうやら心配されている……らしい。
噂話を遮断して澪子とのお話を続けていると、とんとんと肩を軽く叩かれ、振り向いた。
「ねえねえ四宮さん。このクッキーあげる!」
九条さんがニコッと微笑んで、自分で焼いたであろうクッキーの袋を差し出してくれた。
ラッピングもされていて、すごく可愛い。
「え、九条さん。いいの?」
「もちろん! 昨夜焼きすぎちゃったから食べて!」
「そっかあ、ありがとう……」
ほら八島さんも、と澪子にも手渡して、笑顔で九条さんは去っていった。