噛んで、DESIRE
「吾妻くんが、包み込んでくれてた……?」
「そうそう。うわ〜……考えれば考えるほど、吾妻には完敗だなあ」
勢いよく机に突っ伏して、澪子は鼻を啜った。
負けた負けたと呟いている彼女を見て、わたしはすごく愛されているのだと改めて自覚して、嬉しくて泣きそうだった。
「……わたしは澪子がずっとそばにいてくれて、本当に本当に助かってるよ。澪子がいなかったら、ひとり暮らしも寂しくて出来ていなかったと思う。……いつもありがとう」
「……杏莉、」
「これからもたくさん心配かけるかもしれないけど……、変わらず仲良くしてくれる?」
澪子はガバッと顔を上げると、机越しに強く抱きついてきた。
いつも冷静な彼女がこんなふうに感情を示すのは珍しくて、思わず頬が緩んで笑顔になる。