噛んで、DESIRE


「当たり前だよ? わたしの親友は、杏莉なんだから」


澪子はそう言ってわたしの頭を撫でたあと、ゆっくりと席に着いてから、ふと思い出したように尋ねてきた。


「ちなみに杏莉は……、吾妻のこと好きなの?」

「み、澪子……っ! 声が大きい」


教室で平然と言わないで……!?

慌てて澪子の口を塞げば、彼女は少しの間目を瞬かせたあと、ぷっと吹き出した。


「え、ああごめん。でも隠すことないよ、皆んなわかってるし?」

「え……?! うそだ、皆んなすごいね……。わたしが自覚したのは最近なのに……」


「あ、やっぱり本当に吾妻のこと好きなんだ?」

「……っ!」


澪子ってば、意地悪だ……!

だけど彼女はからかっているわけではないのだろうと思い直し、迷ったけれど、こくりとうなずいた。


途端に顔が赤くなるわたしに、彼女はニコニコして言った。


「その気持ち、きっと吾妻も同じだよ」



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