噛んで、DESIRE



「そうだよな、八島! ううっ、俺だって吾妻に会いたいよ……」

「三原……、残念ながら、吾妻はあんたに振り向かないよ。杏莉という天使がいるんだから」


「俺は四宮さんと吾妻が仲良くしているところが見たいだけなんだよ! なのに吾妻はどっか行っちゃって……俺すげえ寂しいよ」

「……うーん、三原も大変だね」


仕方なさそうに三原くんの頭をヨシヨシと撫でる澪子は、三原くんのお母さんみたいだ。

ここのふたりもとっても仲が良いんだよなあ……と癒されていると、三原くんは頬を膨らませて口を開いた。


「しかもあと3日もすれば夏休みだろ? せっかくのロングバケーションを吾妻と過ごせないなんて……」

「…………吾妻の彼女みたいなこと言わないでよ」


「ちげえよ、俺の中では吾妻は親友だよ!」



2コ歳上だけど!と続ける三原くんが放った“ 夏休み ”という言葉に反応する。



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