噛んで、DESIRE
澪子かな、と思って通知を開くと、それは父からのメッセージだった。
ドクッと心臓が嫌な音を立てて、呼吸が浅くなる。
父からメッセージが届くなんて、いつぶりか遡るのも難しいほどなのに、……いまさらどうして。
困惑しながら、届いた文章をおそるおそる読む。
“ 夏休みが終わる日、大事な話がある。予定を空けておけ。 ”
たった二文が、恐ろしくわたしをがんじがらめにする。
わたしはぜんぜん、変わっていない。
こんなメッセージが来て、無視など出来ない。
ひどい言葉は何度も浴びせられてきたのに、また戻ろうとしている。
吾妻くんがいないと、わたしは何も出来ない。
……早く戻ってきてよ、吾妻くん。
ひとりがこんなにも孤独だったなんて、彼が隣にいるときは忘れていたのに。
夜が明けないのではないかと不安になって、その日は結局、一睡も出来なかった。