噛んで、DESIRE

芸術家繋がりの方だろうか。

でもそれなら、父がわたしではなく純恋を薦めるに決まっている。


「当たり前だが、縁談を断ることは許さない。相手方との関係が悪化する」

「……ですが、」


そんな勝手な話があるの？

わたしはいままで四宮家から遠ざけられていたのに、政略結婚なんて……勝手にも程がある。


そう言いたいけれど、父に反抗などしたことがなかったわたしは、拳を握りしめるくらいしか出来ない。


「反抗する気か？ まあ、嫁ぎ先で四宮の名を汚すことにはなるだろうがな」

「……っ、それなら、嫁がないほうが……良いのではないですか？」


「それでも、おまえをうちにくれと言ってくださっているんだから従うしかないだろう！」



いつもは冷静な父が逆上した姿を見て息を呑む。

そして、やっと……状況を理解した。