噛んで、DESIRE


歳下だからって、絶対からかって楽しんでいる。


そういうの良くないよ、吾妻くん。

抗議したいのに、確かに新婚みたいだな……と思ってしまって、その気力さえ出ない。


悶々としながら手を洗い、そのまま吾妻くんを置いてリビングへ向かう。


「杏莉ちゃん、なんか怒ってる?」

「ぜんぜん、怒ってないです」


「ほーん。まあなんでもいいけど」


気の抜けた返事をして、呑気にあくびをして後ろを着いてくる吾妻くん。

彼はリビングに入るなり、珍しく驚きを乗せた声を出した。


「花だらけじゃん」


わたしのリビングに飾られているたくさんのお花たちに、彼はびっくりしている。

自分で生けた花も多く、わたしらしくない華やかな室内だ。






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