噛んで、DESIRE
「杏莉ちゃんに会えなくてマジキツかった。煙草吸いたいし、杏莉ちゃん噛みたいし、どーしようかと思ったわ」
「……わたしも、寂しくて寂しくて……、泣きそう、でした」
「ふは、カワイーね。いますぐ襲いたい」
「……うっ、やだ」
「フラれたし。……あーあ、しかも、もう泣いてる」
溢れる涙を、吾妻くんが拭ってくれる。
彼は愛おしいものを見るような瞳で、わたしをそっと抱きしめた。
「ねーえ、杏莉ちゃん」
「な、んですか……?」
緩く甘く声をかけてくる吾妻くんは、途端にキケン色に染まっている。
それを承知で尋ねるわたしは、猛毒を持つ美しい彼にめっぽう弱い。
「俺、頑張ったよ。ご褒美ちょーだい」