噛んで、DESIRE



……そうだったんだ。

吾妻くんは、謎が多い人だ。

陰で努力をしているのかもしれないし、本当に何もしていないのかもしれない。


でもそんなところも、これからゆっくり知っていきたいと思う。

吾妻くんをいちばん近くで見守れるのは、きっとわたしだから。


「それに1ヶ月は夏休み被ってたし、大丈夫」

「……それなら、安心しました」

「ん。だからちゃんと、杏莉ちゃんと卒業出来るよ」


彼の黒髪が目にかかっていて、色っぽい。

どこまでもドキドキさせてくる人だなあ……と呆れそうになりながらも、愛おしさが募っていく。


一緒に卒業出来ることがびっくりするほど嬉しくて、勢いのまま……吾妻くんにキスをした。




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