噛んで、DESIRE



でもそんな彼が大好きなのだから仕方ない。

こうやってずっとわたしは、吾妻くんに弱くなっていくのだろう。


……それも、悪くないかもしれない。

お互いが弱点になっても、良いかもしれない。


「こんな俺でも良いの?」


答えなんて、わかってるくせに。


「そんな吾妻くんが、良いんです」

「ふは、可愛いこと言うじゃん」


吾妻くんは、噛みたがりの不良くん。

手に負えないって思うのに、懐いてしまったのだから仕方がない。


わたしは猛毒みたいで野良猫のような吾妻くんを、ずっと隣で愛していたい。


「ねーえ、杏莉ちゃん。ずっと一緒にここに住も」

「……はい、住みましょう」


「でもそれ、どういう意味かわかってる?」

「なんですか」


吾妻くんは唇を舐めて、妖艶に笑った。


「つまり、毎日襲い放題ってハナシ」

「……閉め出しますよ、吾妻くん」

「はは、照れてるくせに」






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