噛んで、DESIRE
「じゃあ、続きは家でしよーな?」
獣目を光らせて、彼は首を傾げた。
今夜はきっと、彼にたくさん噛まれるだろう。
求めて、求められて、求め合って。
わたしを誰よりも大切にしてくれる彼を、誰よりも大切に愛したい。
今夜は吾妻くんを独占したい。
その気持ちはきっと、彼も同じ。
「……仕方なし、です」
あまのじゃくなわたしを、吾妻くんは可笑しそうに目を細める。
そっと触れるだけのキスを交わして、抱き寄せられた。
「ふは。素直じゃねえ杏莉ちゃんがとびきり可愛いんだから、俺の負けだわ」
こんなふうに優しく頭を撫でられると、大好きって叫びたくなる。
ずっとこのままでいい。
ずっとずっと、この大きな腕の中で温もりを感じていたい。
そう思い、幸せを噛みしめながら目を閉じた。
Fin.