噛んで、DESIRE
そのままパクパクと嬉しそうに食べてくれる吾妻くん。
学校で見ていたときは、ずっとキケンな雰囲気を纏っていて、近寄りがたいと思っていた。
でも本当は、そうじゃないのかもしれない。
こんなに普通に食卓を囲んでいるのが不思議なはずなのに、なぜかしっくりきてしまうのだから。
彼がわたしのことを見ていないのを良いことに、じっと金色の髪を眺める。
すると視線に気づいたのか顔を上げた吾妻くんと、バチッと目が合った。
「なに?」
首を傾げる吾妻くん。
視線を逸らそうとするも、彼はそれを許してくれない。
今度こそ、なんでもないは使えないな……と断念し、小さな声で言った。
「……髪が、濡れてるから、気になっただけです」
「ああ、乾かすの面倒だった」
「髪、少し長いですもんね」
「そ、すげえ目にかかる」