噛んで、DESIRE



鬱陶しそうに髪をかき上げる動作が、困るほど麗しくて直視できない。


「あ、また目逸らした」

「だって……」


目に毒。良い毒。いや、悪い毒。

刺激が強い。

こんなにドキドキするの、初めてだから。


「あー……なるほどな」


言い淀んだのと、表情で察したのかもしれない。

きっといま、キュッと綺麗に口角を上げたのだろう。


幾分か上機嫌な声で、吾妻くんはわたしに言う。


「純情にも程があるんじゃねーの?」

「……純情じゃ、ない、です」


「ふは、そーなの?」





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