噛んで、DESIRE
「あのな、杏莉ちゃん? 俺は床で良いんだって」
「それは絶対だめです……!」
「じゃあ俺どーしたらいいの」
「もちろんベッドをどうぞ……」
「いや、ありえねーじゃん」
困ったように、というか怒ったように、吾妻くんはわたしを見下ろしている。
わたしも負けじと見つめていたら、彼は、はーーっと長いため息をついて言った。
「……しょーがねえなあ」
腕を掴まれ、そのままグイッと吾妻くんのほうへ引き寄せられる。
なぜか、彼に抱きしめられているような体勢になり、軽くパニックになる。
……こ、これは、一体なに?
突然のことで身体が固まっていると、そのまま吾妻くんに引っ張られて、ふたりでベッドにダイブした。
ベッドの上に倒れ込み、その状態で寝転がった吾妻くんと視線が絡む。
どのアングルでも美しい彼に見惚れていると、彼はキュッと口角を上げた。