噛んで、DESIRE
「強情な杏莉ちゃん、今夜は仕方なく、俺といっしょにベッドで寝ような?」
「え……、え、何言って、」
「そのまんま。埒あかないから、もうふたりでベッド使っちゃえば良いんじゃねっていうハナシ」
「ぜんぜん良くないです……っ」
なんでそうなるの……?!
吾妻くんの思考回路は、何かとぶっ飛んでいる。
まともに食らっていたら持たないくせに、わたしは焦って離れようと試みる。
それなのに、起き上がろうとしたわたしのお腹に、無駄にしなやかな腕が緩く巻き付いた。
「だめ、おとなしくしよーな」
直視できない。
ドキドキしすぎて、壊れそうだから。
苦しくて、まるで溺れているようだから。