噛んで、DESIRE
もちろんおとなしくベッドに再度ダイブし、やっぱり目に猛毒な彼からは視線を逸らす。
「杏莉ちゃんって、すぐ目逸らすね」
はは、と楽しそうに笑っている吾妻くんは、わたしのお腹から腕を退けようとしない。
「……手、離して、ください」
慣れていないわたしは、カタコトで、声を震わしながら反抗することしかできない。
男の人に触れられる経験がないから、どうしたらいいのかわからない。
吾妻くんは、きっとそんなことなんてお見通し。
そのくせして、知らないふりしてからかってくる。
「いいじゃん、別に」
「……なにもしないって、言ってました」
「んー? まあちょっと、気が変わった」
「意味わからない、です……」
だから、この人はキケンだ。
触れてはいけない、ぜったいに。