噛んで、DESIRE
「は、離してください……っ」
おかしい、こんなの。
だってわたしと吾妻くんは、ただのクラスメイトなのだから。
今夜は違う、イレギュラー。
こんなことになるなら、家に上げてなんかいなかった。
ぐぐぐ、と両手で吾妻くんの胸板を押す。
それなのに、どうしてか彼はびくともしない。
「なにそれ、抵抗してるつもり?」
にっと笑って、吾妻くんは片方の手で髪をかき上げた。
さらりと金色の髪が彼の目にかかり、さらに色気が増して苦しい。
……ああ、もう、意地悪だ。
それなのにわたしは、まんまと罠に嵌っている。
いや、もしかすると……自ら嵌ろうとしているのかもしれない。