噛んで、DESIRE



「強いて理由を言うなら、杏莉ちゃんが純情だから」

「……関係、ないです」


「そうやって顔赤くすんのが良くないよなあ?」


どうせまた、からかってる。

慣れていないわたしを見て、ただ遊んでいるだけ。


明日になったら、きっと彼にとっては、どうせ忘れてしまうある夜の秘め事。


……わたしは吾妻くんの思い通りになんか、ぜったいならない。

こんなの、まともに向け止めたら駄目なんだ。



ぐるぐる考えて、でも沸々と怒りが湧いてきて、自分でも驚くくらいの力で彼を押し返した。



「わたしは吾妻くんと違って……っ、慣れてないので!」



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