噛んで、DESIRE
シガレットの匂い
☽
「なーあ、杏莉ちゃん」
「……おはようございます。なんですか」
「俺、とんでもないことに気付いちゃったんだけどさ」
「こ、怖いので、早く言ってください……」
翌日の朝。
実は早起きらしい吾妻くんがわたしを揺らして起こし、眠い中なんとか目を開く。
目が覚めたら吾妻くんとの出来事はぜんぶ夢でした、みたいなことはもちろん起こるはずもなく、しっかり美麗なお顔が目の前に存在していた。
「あのさ、昨日何曜日か知ってる?」
なんのことかと思えば、急に曜日の話。
吾妻くんは突拍子もないことを言いがちだから、そこまで不思議だとは思わなくなってきたけれど。
ひとまず回らない思考回路をフル回転させて答える。