噛んで、DESIRE
「昨日は……授業あったけど、土曜日ですよね」
「うん、そう。ちなみに今日は?」
「日曜日です」
「だよね。つまり、学校ないよね」
ニコッと目を細めた吾妻くんに首を傾げる。
そこで、はたと気付いた。
とってもとっても、恐ろしいことに。
「…………まさか」
小さくこぼしたわたしの言葉に、彼はさらに笑みを濃くさせてうなずいた。
「はは、今日も帰れないわ」
……なんてことだ。
昨日で終わりだと思ったから泊めたのに。
驚いているのに、なんだかもう抗えないと思って、しまいには項垂れた。
「……これも、作戦ですか?」
「んなわけ。てことでもう1泊してもいい?」
「……仕方なし、です。野宿は、困りますので」
「さすが杏莉ちゃん。ありがと」