噛んで、DESIRE
本人が言うと洒落にならない。
吾妻くんは噂によると、いまも綺麗な女の人と夜に歩いているらしいし。
きっとほかの女の人とも遊びすぎて、振られたにちがいない。
さらに謎が深まっていく。
そもそも……吾妻くんは、なぜ2回も留年したのだろうか。
何も理由がないとは、彼を少し知ったいま思えない。
でも自分からその話題を振るのは勇気がいる。
きっと聞いてほしいときに吾妻くんから話してくれるだろうと思って、いまは気にしないことにした。
吾妻くんの瞳をじっと見つめる。
彼から見れば、わたしなど、ただのクラスメイトに過ぎないのだろうか。
綺麗な大人の女の人じゃないけれど、わたしは彼の目にどう映っているのだろうか。
「どーしたの」