噛んで、DESIRE


首を傾げて尋ねてくる吾妻くん。

いつもは目を逸らしてしまうけれど、いまだけはなぜか視線を外したくなかった。

ソファの上で、三角座りをしていた膝に、顔を埋めて言う。


「……吾妻くんは、わたしのこと恋愛対象外ですか」


自分でも、何を聞いているかわからなかった。

衝動的な質問だったから、自分でも言ったあと静かに驚いた。


でもそれ以上に驚いていたのは吾妻くんで、少し動揺しているのは伝わった。

だけどすぐに彼はキュッと口角を上げて言うのだ。


「じゃあ杏莉ちゃん的に、女子高生に手出すハタチってどうなわけ」

「……ちょっと、やばい、かもです」


「はは、じゃあナシかな」


……はっきりと無いだなんて、ストレートすぎる。

途端に黙って俯くわたしに、吾妻くんは可笑しそうに言う。


「俺を満足させられる?」

「う、ん」


「ふうん。まあ杏莉ちゃんは俺でいっぱいだもんな?」



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