噛んで、DESIRE
野良猫みたいなひと
☽
翌日の、月曜日の朝。
いつもどおりスマホのアラームで起きると、昨日そばにあった温もりが、いつのまにかいなくなっていた。
……吾妻くんは?
ゆっくりとベッドから降りて、リビングにいないか探す。
だけど、本当にどこにもいなくて焦っていると、テーブルに書き置きされているメモを見つけた。
“ 叔父さん帰ってきたから戻る。泊めてくれてありがとー ”
……帰っちゃったんだ。
最初は彼が泊まるのも渋っていたけれど、なぜいまは少し寂しいと思ってしまう。
いつもの日常が戻るだけなのに、それがすごく物足りなく感じた。
「……学校行く準備、しなきゃ」
吾妻くんが家にいないと静かだ。
邪魔されることなくスムーズに準備できていることがぜんぜん嬉しくなくて、自分でも気持ちがわからなくなる。