噛んで、DESIRE
口を開かず黙っていると、澪子はさらに心配そうに眉を下げた。
「もしかして……家族に何か言われたとか?」
「ううん、それはない。相変わらず、わたしのことは興味ないみたい」
「そっか……。何かあったら相談するんだよ?」
「うん、ありがとう。澪子」
「もう、杏莉ったらぜんぜん頼ってくれないんだから」
そうため息をついた彼女には、すごくすごく感謝している。
自分のことをこうやって気にかけてくれる人がいることは、わたしにとって、かなり大きなことだった。
いつだってひとりぼっちだったわたしには、澪子はかけがえのない親友だから。