噛んで、DESIRE
「おい吾妻梓〜〜遅刻の理由はなんだ。たった3文字で許されると思うな?」
さっそく眠そうにしている吾妻くんに、先生は不貞腐れたように言う。
やっぱりこのふたりは仲が良いみたいだ。
先生と生徒だけれど、吾妻くんの留年期間ずっと、彼の担任をしているのだから親しくなるのは当然なのかもしれない。
クラスでは慄かれている吾妻くんに、こんなふうに親しげに話しかける人はおらず、おかげで先生と吾妻くんが話すたびに教室中が注目していた。
そんな視線をまったく気にせず、吾妻くんはだるそうに口を開く。
「うーん……寝坊って感じ?」
「はあ? もう1時過ぎてるし、しっかりしてくれ」
「んー頑張る」
「頑張ります、な!」