噛んで、DESIRE

吾妻くんはこくりとうなずき、つまらなさそうに教科書をぺらぺらとめくっている。

その様子を見た先生はため息をついて授業を始める。


だけど、吾妻くんの登場は女の子を色めき立たせるようで、何人かにちらちらと視線を向けられていた。


それなのに、当の本人はまったく興味がなさそうに教科書を閉じて、わたしがいる方向に頬杖をついた。

そして、じーーっとわざとらしいくらいの視線をこちらに向けている、……気がする。


「……っ」



……な、なんでわたしを見てるの？

そんなに視線を送っていたら、ほかの女の子に勘違いされるに決まってるのに。


授業は始まったばかり。だけど意識し出すと突然集中できなくなる。