噛んで、DESIRE

「……入らないん、ですか」



何度も言うけれど、もう何泊したって変わらない。


可愛くないわたしは、どこまでも素っ気なく問いかける。

すると、吾妻くんは嬉しそうに笑って口を開いた。



「杏莉ちゃんってツンデレだよな」

「やめてくださいよ……」


何を言い出すかと思えば。

そんなの、言われたことない。


でも確かに、吾妻くんが相手だと、なぜか天邪鬼になってしまう。

暗に素直じゃないと言いたいのか……と思いながら吾妻くんを見上げると、彼は目尻を下げて続ける。


「はは、冷めてるように見せかけて本当は違う。そこが良いんだわ」

「……？ 難しいです」


「別にわかんなくていいよ」