好きだなんて、【完】



それから一つの傘に2人で入って並んで歩いた。





風季は意外といつも通りで、その態度に余計意味がわからなくなって、




戸惑いを隠せないまま、いつも通りがわからないまま、やっと家の前についた。



雨で濡れてしまっていることなんて忘れるくらい、体温が上がり続けていた。



「ただいま…」




「うわっ、どうしたの!?」





玄関を開ければ、さっき帰ってきたのか廊下に立っていたお姉ちゃん



びっくりした顔でこちらに小走りで駆け寄ってくる。




そりゃ濡れている私と、それを支えるようにいる風季を見たら驚くよね。




「雨に打たれたんだよ。しずくをよろしく」




「風季が連れて帰ってきてくれたの?」




「そうだよ。兄貴が来なかったからな」




「凪が?え、?…どういうこと?」




吐き捨てるようにそう言った風季。



ずっと凪くんに対して怒ってるんだと思う。



何も知らないお姉ちゃんはずっと混乱している様子だった。
< 116 / 161 >

この作品をシェア

pagetop