好きだなんて、【完】
それから一つの傘に2人で入って並んで歩いた。
風季は意外といつも通りで、その態度に余計意味がわからなくなって、
戸惑いを隠せないまま、いつも通りがわからないまま、やっと家の前についた。
雨で濡れてしまっていることなんて忘れるくらい、体温が上がり続けていた。
「ただいま…」
「うわっ、どうしたの!?」
玄関を開ければ、さっき帰ってきたのか廊下に立っていたお姉ちゃん
びっくりした顔でこちらに小走りで駆け寄ってくる。
そりゃ濡れている私と、それを支えるようにいる風季を見たら驚くよね。
「雨に打たれたんだよ。しずくをよろしく」
「風季が連れて帰ってきてくれたの?」
「そうだよ。兄貴が来なかったからな」
「凪が?え、?…どういうこと?」
吐き捨てるようにそう言った風季。
ずっと凪くんに対して怒ってるんだと思う。
何も知らないお姉ちゃんはずっと混乱している様子だった。