好きだなんて、【完】
もう一度扉を閉め直そうとすると、
「全然邪魔じゃないよ?」
眉をさげて微笑むお姉ちゃん。
言葉ではそう言ってくれるけど私はなんとなくわかる。きっとお姉ちゃんも凪くんのことが好きなんだ。
実は両思いの2人の時間を邪魔しちゃった、なんて…
「凪ね、9月からドラマの主演が決まったんだってさ。それで相談に乗ってたの。」
「へ…主演?凪くん凄いっ」
「……どうも」
思わず身を乗り出して興奮してしまった私に、目も合わせずそういう凪くん。
さっきお姉ちゃんと話してた時の柔らかい表情とは大違い。
「もう本当、凪ったら冷たい!」
豪快に凪くんの背中を叩いて、怒るお姉ちゃん
お姉ちゃんは可愛くて優しくて、社交的ですぐに人と仲良くなる。私の憧れ。
凪くんが好きになるのも、当たり前だと思う。
「で、しずくはどうしたの?」
優しく微笑んで私に問いかけるお姉ちゃん