好きだなんて、【完】
俺にしずくを縛る資格なんてないのに。
昔からしずくは甘えん坊で、ずっと俺の隣にいた。
きっと本当のお兄ちゃんのように慕ってくれていたんだと思う。
でも俺は物心ついた頃から、好きで。
昔から不器用で、自分の気持ちを表に表すことが苦手だった。そんな俺を優しく支えるように常に隣にいて、微笑んでいたのがしずくだった。
不器用なりに大切にしていた。
3年前つららの撮影を興味本位で見にいった時、つららの事務所の社長にスカウトされた。
さほど業界に興味がなかった俺は悩んでいた。
「しずく。」
「ん?」
いつも通りまるで陽だまりみたい優しく笑うしずく
「これ、スカウトされた時に撮ったデータできた。」
「うそっ、見せてっ!」
きらきらの笑顔に促されて、差し出したスマホ
その画面にはスカウトされた時に"試し"に撮ってもらった写真。