好きだなんて、【完】
入所を決めて、改めて今後について事務所で話していた時
「分かってると思うけど、これから私生活に自由はないと思ってもらいたい。」
「…え、」
社長が言う言葉の強さに理解が追いつかなかった。
もっと軽く考えていた。
「この世界は君のためにたくさんの大人が動く。その分の責任があって、スタッフの人生がある。恋愛も青春も捨ててもらわないといけない。」
そんなことを言われるなんて想像もしていなかった俺はただ混乱して、
「でも俺、好きな子がいるんです」
「その気持ちはずっと続くのか?」
矢のような言葉に喉が詰まる
「え、」
「一生1人の人を好きな人なんて、そうそう居ない。…酷なことを言うが、忘れなさい。」
俺がしずくに告白するとか、付き合うとか、そういうことも制限される
本当に覚悟俺にはあるのか、迷っている時だった。