好きだなんて、【完】


それくらい芸能人は厳しい世界だと芸能界に入ってすぐ気がついた。



結果、必要以上にしずくを遠ざけて傷つけて、脳裏に浮かぶしずくの顔を忘れるように仕事に打ち込んだ。



あれよあれよというまに沢山の仕事が舞い込んで、気がつけばこの仕事は俺の誇りになっていた。




そう思って3年間過ごして来た。



「これ以上しずくを傷つけないでね」




「わかってるよ。…ちょっと頭冷やしてくる」



しずくを傷つけたって意味がない。分かってる。


もっと優しく遠ざけることもできるはずなのに、俺にはそんな術はない。



…俺ってまじで最低のクソ野郎だ。



頭を冷やすついでに、飲み物でも取ってくるか。


これじゃ、つららにドラマの相談に来たのにそれどころじゃねぇじゃん。

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